更新日:2023年12月21日
日本では「グレート・ピレニーズ」とも「ピレネー犬」とも呼ばれていますが、ヨーロッパでは「ピレニアン・マウンテン・ドッグ」と呼ばれるように、スペインとフランスの国境に連なるピレネー山脈で牧羊犬や番犬として飼育されていた犬種です。
紀元6世紀頃に中央アジアやシベリアから入ってきたチベタン・マスティフ系の犬が祖先とされており、17世紀に入るとフランス宮廷でもてはやされるようになりました。マリー・アントワネットがピレニーズを護衛犬としていたことはあまりにも有名です。
一般的に体高は65〜81cm、体重は50〜60kg。日本で血統書を発行する機関であるJKCではオス70〜80cm、メス65〜75cmを理想体高とし、完全なタイプ(バランスが取れている)に限り「サイズを2cmまで上回るのは許容される」としています。体重に関する規定はありません。
もふもふの被毛が魅力のグレート・ピレニーズ。毛色は白、グレー、薄いイエロー、ウルフカラーなどがあります。
グレート・ピレニーズは、密生した下毛と長い剛毛の上毛を持つダブルコート。それだけに換毛期の抜け毛はかなりの量になり、大型犬の中でもトップクラスの抜け毛の多い犬種となっています。抜け毛対策のためにも毎日のブラッシングは欠かさず行いたいもの。グレート・ピレニーズには後ろ足の足首あたりに「狼爪」と呼ばれるツメがあるのが特徴です。この狼爪はほかの爪とは異なり、お散歩などで自然に削れるということがないので、月に1〜2回程度、忘れずに爪切りをしてあげるといいでしょう。
グレート・ピレニーズの寿命は10〜12歳程度。大型犬としては平均的な寿命です。
温厚で穏やかな性格。表情が豊かで愛情深く、挑発されない限りは怒らない忍耐強さも兼ねそなえています。家族にはよく慣れますが縄張り意識が強いため、見知らぬ人には警戒心をむき出しにします。フレンドリーな性格に育てるには、幼いうちからさまざまな人や犬とふれ合う機会を作ってあげましょう。頑固な性格なのでしつけには時間がかかりますが、根気強く教えればきちんと覚えてくれます。
もともと猟犬だったこともあり運動量が必要。朝晩の1日1回、1回につき1時間以上のお散歩をさせてあげましょう。原産が山岳地帯で寒さに強い犬種のため、高温多湿の日本の夏は苦手です。エアコンでの室温管理をしてあげてください。トリミングサロンでカットして被毛の通気性をよくしてあげることも検討してください。
この品種では、右心室と右心房を区切っている三尖弁が先天的に形成不全を起こすことが多く、そのため起こりやすいことが知られています。疲れやすくなる、咳が出る、腹水が溜まるなどの症状がみられます。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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