更新日:2023年12月21日
ラブラドール・レトリーバーの「レトリーバー」とは、獲物を回収するという意味。日本では略して「ラブラドール」「ラブ」と呼ばれることもあります。
出自についてははっきりとしていませんが、16世紀頃、カナダのニューファンドランド半島で漁師たちが飼育していた「セント・ジョンズレトリバー」が祖先ではないかといわれています。魚網からこぼれ落ちた魚を回収するなどの作業を担っていたようです。その姿を見たイギリスの貴族が水鳥猟の猟犬として持ち帰り、繁殖を進めて19世紀末頃には現在の形に近いラブラドール・レトリーバーとなりました。水かきがあるのが特徴で、泳ぎが得意なことから「king of water fowl(水鳥回収の王)」とも称されます。
アメリカやカナダでは、常に登録頭数トップクラスを誇る人気犬種。観察力に優れ、使役能力も高いことから盲導犬、介助補助犬、警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬など、広範囲で働く犬として活躍しています。
ラブラドール・レトリーバーは、日本では大型犬に分類されていますが欧米では中型犬に分類されることもあります。日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、オス56〜57cm、メス54〜56cmが理想体高としています。体重についての規定はありませんが、25〜35kgの個体が多く、平均すると30kg程度です。
祖先犬であるセント・ジョンズレトリバーの被毛は黒のみでしたが、その後、繁殖によりイエローやチョコレート(レバー)の被毛が登場するようになりました。イエローは明るいクリーム色からフォックス・レッド(赤っぽいきつね色)まで認められています。胸にできる小さなホワイトの斑は、通称「メダル」と呼ばれます。
ラブラドール・レトリーバーは、短毛種ですが下毛と上毛からなるダブルコート。換毛期には抜け毛が多くなりますので、この時期は、こまめにブラシをかけてあげましょう。シャンプーは月に1〜2回程度。水を怖がらない子が多いのでシャンプーは楽です。
ラブラドール・レトリーバーの平均的な寿命は10〜15年です。
穏やかでやさしく、誰にでもフレンドリーなラブラドール・レトリーバー。小さなお子さんのいる家庭でも安心して飼うことができます。賢く学習能力が高いので、しつけがしやすい犬種といえるでしょう。むしろ、飼い主さんとしてぶれないしつけができるかどうかが重要です。同じ行動をしてもほめたりほめなかったり、叱ったり叱らなかったりするのは混乱の元となります。
ラブラドール・レトリーバーは狩猟犬として活躍していただけあって、十分な量の運動が必要です。運動不足はストレスの原因に。朝夕2回、1回につき30分〜1時間程度は散歩をしてあげてください。ボールやフライングディスクなどを「持ってこい」する遊びもおすすめ。水遊びが大好きなので、夏場は庭でプール遊びをしたりするのもいいでしょう。
この品種では、右心室と右心房を区切っている三尖弁が先天的に形成不全を起こすことが多く、そのため起こりやすいことが知られています。疲れやすくなる、咳が出る、腹水が溜まるなどの症状がみられます。
慢性肝炎は、肝細胞の壊死と炎症が起こり、肝硬変へと進行していく疾患で、ほとんどのケースで炎症の原因は不明です。初期は症状がみられませんが、進行して肝臓の機能に支障をきたすと、食欲や元気がなくなる、腹水が溜まる、黄疸が出る、神経症状を起こす、などがみられ、死に至ります。定期診断による早期発見がお勧めです。
食べ物、液体、もしくはガスの急速な貯留によって胃が膨張し、ねじれてしまう疾患です。ねじれた胃が血流や神経に影響を及ぼしショックを起こすため、治療しなければ急速に死に至るような恐ろしい病気です。大型で胸の深い犬種がなりやすく、食後すぐに運動させることによって、より誘発されます。
尿石症は膀胱炎や尿路閉塞を引き起こすことが多いので注意が必要です。血尿、頻尿、排尿困難といった症状が現れます。シスチン尿石症は遺伝性疾患で、若齢で発症するタイプと、成犬になってから発症するタイプがあり、ラブラドール・レトリーバーは前者です。
興奮や運動により悪化する喘鳴が主な臨床徴候ですが、重症例では呼吸困難によるチアノーゼや虚脱が起こることもあります。
膣炎の原因としては、細菌感染、ウイルス感染、腫瘍、膣の発育不全などがありますが、ほとんどが外陰部から膣内へ細菌が入り込むことによって生じます。外陰部からおりものが出るなどの症状がみられますが、犬が陰部を気にして舐めることで気がつくことが多いでしょう。ラブラドール・レトリーバーなどの大型犬の場合は、性成熟前に膣から膿が出る「性成熟前膣炎」がみられることが多く、その場合は初めての発情とともに自然回復するため、治療は必要ありません。
慢性的な睡眠疾患で、ごはんのときや元気におもちゃと遊んでいるときなど、興奮し過ぎてしまったことが引き金となり、全身の力が抜けたようにパタリと倒れて眠ってしまうなどの脱力発作という症状を引き起こします。
眼球の内側に存在する、網膜という場所が剥がれることにより、視力が低下してしまいます。網膜剥離を起こす原因にはいくつかありますが、おもちゃを咬んで振り回したりする際に頭を強く振ることなどで、網膜剥離を起こしやすいことが知られています。
ハウスダストなどの環境抗原に対して起こるアレルギー性皮膚炎で、通常、重度の痒みが生じます。生後半年〜3歳くらいまでの若い時期に発症し、目の周り、口の周り、耳、四肢の付け根、肢先などに皮膚病変が起こります。痒み止めの内服も必要ですが、適切なスキンケアにより、皮膚のバリア機能を整えることも重要です。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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