更新日:2023年12月21日
シー・ズーとは中国語で「獅子(ライオン)」という意味。チベット奥地の僧院で飼育されていた聖なる犬の1つであるラサ・アプソと中国の歴代王朝の宮廷で門外不出とされたペキニーズを交配させて誕生したのがシー・ズーです。ラサ・アプソもペキニーズも現存する犬種で、両国でも「神犬」として神聖視されており、シー・ズーもまた守り神として王侯貴族に飼育されてきました。
清朝の西太后は1,000〜4,000頭のシー・ズーを紫禁城で飼育していたとされており、19世紀後半の第二次アヘン戦争(アロー戦争)の際に、英仏軍により西太后が追い出された城に残されていた犬種の一つがシー・ズーで、犬好きのイギリス人が持ち帰って世界中に広まったという説があります。
日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、シー・ズーの標準体重は4.5〜8kg。理想体重は4.5〜7.5kgで、体高27cmを超えてはならないとしています。
かつての北京ケネルクラブでは、シー・ズーは「頭部はライオン、体はクマ、足はラクダ、尾は羽ほうき。耳はヤシの葉、歯は米粒、舌は真珠のような花弁。歩く姿はまるで金魚」と評されており、尾を高く上げて体をゆらしながら歩く姿は、金魚のように見えないこともありません。鼻が短く、まん丸な目に、長く伸びた鼻まわりの毛が菊の花に見えることから「クリサンセマム・ドッグ」とも呼ばれます。クリサンセマムとは菊科の植物を意味しています。
シー・ズーには特に被毛や毛色に規定はありません。そのため、実にさまざまな毛色のバリエーションが存在します。
日本で人気のカラーは、白を基調としたホワイト&ゴールドとホワイト&ブラックですが、ほかにもゴールド、ブラック、ホワイト、ブルー、シャンパンなどの単色や、ホワイトを含まないパーティーカラー、レバー(赤褐色)の毛色を持つシー・ズーも存在します。このうち、額と尾の先端に白が入った毛色のシー・ズーは希少価値が高いとされています。
また、シー・ズーは成長とともに毛色が変わることがあり、一般的に、色が薄くなることが多いとされていますが、個体によって色の変化はさまざまです。
シー・ズーの最大の特徴は、長くて密生したやわらかい被毛です。ダブルコートにもかかわらず抜け毛は少なめですが、毛玉ができやすいので毎日のブラッシングが欠かせません。また、被毛で大きな目が傷つきやすいので、頭頂部をリボンなどで結んであげるといいでしょう。ショータイプのスタイルにこだわらないのであれば、短くカットすれば日常のお手入れが楽になります。
シー・ズーの平均寿命は14〜15歳前後。犬種全体で見れば長寿ですが、小型犬としては平均的な寿命です。
シー・ズーは天真爛漫で社交的、性格も穏やかで甘え上手です。しつけがしやすいことで知られていますが、マイペースでガンコな面があり、一度間違ったことを覚えてしまうと、しつけ直すのがなかなか大変です。基本的には従順なので、飼い主さんが一貫した姿勢でしつけることが大切です。
のんびり飼い主さんのそばに座っていることを好むシー・ズーですが、気分転換のためにも散歩に連れて行ってあげましょう。朝夕の2回、1回につき20分以上の散歩をさせてあげるといいでしょう。シー・ズーのお散歩は寄り道をしながらのんびり歩く傾向があるので、ときどきお散歩コースを変更して好奇心を満たしてあげるとストレス発散につながります。
胃の出口の幽門部(ゆうもんぶ)の異常により、胃に入った食べ物を十二指腸に送りにくくなる病気です。幽門狭窄は先天性と後天性がありますが、シーズーは後天性の幽門狭窄が多いです。内科的な治療では十分な効果が得られないことも多く、外科手術が必要な疾患です。
背骨と背骨の間でクッションの役割を担っているのが椎間板ですが、この椎間板が変性を起こし突出することで、背骨の上を通っている神経(脊髄)の一部が圧迫される病気です。一般的には、事故や加齢が原因となりますが、遺伝的な素因でなりやすい場合は、若齢でも起こることがあります。ソファの上り下りができなくなる、後ろ肢が立たない、跛行がみられる、背中を触ると痛みでびくつく、などの症状がみられます。
涙の産生量が少なく、常に目が乾いた状態になるため、目に傷がつきやすかったり結膜炎を起こします。また、ドロドロした油っぽい眼やにがでることもあります。遺伝的影響が考えられています。
尿石症は膀胱炎を引き起こすことが多いので注意が必要です。血尿、頻尿、排尿困難といった症状が現れます。雌ではほとんどがストラバイトで、雄ではストラバイトとシュウ酸カルシウムが半々くらいですが、シーズーの雄ではシュウ酸カルシウムと尿酸塩が多くみられます。ストラバイト、シスチン、尿酸塩は、内科的に溶かすことが可能なケースがありますが、シュウ酸カルシウム尿石は、石を溶かす友好的な方法がないため、治療法は摘出になります。
小型犬、短頭種、頭が大きく腰が細い犬などは難産になりやすいです。シーズー、チワワ、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズなどが挙げられます。また、肥満犬、高齢犬、栄養状態が悪い犬なども難産になりやすい傾向にあります。最初から帝王切開が選択される犬種もありますが、そうではない場合は、陣痛が始まってもなかなか子供が生まれないようであればすぐに動物病院を受診しましょう。
短頭種の顔や首の構造上、呼吸がうまく行えないことがあり、その総称を短頭種気道症候群といいます。肺へ空気を送る気管がつぶれてしまう気管虚脱、鼻の穴が狭くなる鼻腔狹窄、口の中の上あごの肉が垂れてくる軟口蓋過長などにより、激しいパンティング、呼吸困難、呼吸時のゼイゼイとした雑音などが確認されます。
胆嚢内に過剰な粘液が蓄積してしまう病気です。この粘液はゼリー状で、溜まり続けると胆嚢が破裂してしまうこともあります。原因についてははっきりと分かっていない部分もありますが、脂質代謝異常、胆嚢の運動性の低下などが挙げられます。元気や食欲がなくなり、嘔吐したり、腹部の痛みがみられます。
原因不明の脳炎で、意識障害や旋回運動、昏睡などを起こすようになります。パグ以外の犬にも見られますが、とくにパグで多く認められるため、「パグ脳炎」とも呼ばれています。
目頭にある第三眼瞼(瞬膜)が飛び出している状態がさくらんぼに見えることから「チェリーアイ」と呼ばれる病気です。正式には「第三眼瞼腺突出」といいます。第三眼瞼は下まぶたの内側にあり、眼球の保護や涙の産生など、大切な役割を担っています。
水晶体が白濁してしまうことで、視力が失われていきます。ものにつまずくようになったり、散歩を嫌がるようになったりすることがあります。加齢とともに生じやすくなります。
眼球の内側に存在する、網膜という場所が剥がれることにより、視力が低下してしまいます。網膜剥離を起こす原因にはいくつかありますが、シーズーは、眼球の硝子体という場所に変性を起こしやすい品種であり、それにより、おもちゃを咬んで振り回したりする際に頭を強く振ることなどで、網膜剥離を起こしやすいことが知られています。
ハウスダストなどの環境抗原に対して起こるアレルギー性皮膚炎で、通常、重度の痒みが生じます。生後半年〜3歳くらいまでの若い時期に発症し、目の周り、口の周り、耳、四肢の付け根、肢先などに皮膚病変が起こります。痒みを止めの内服も必要ですが、適切なスキンケアにより、皮膚のバリア機能を整えることも重要です。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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