淡色被毛脱毛症は遺伝性の皮膚の病気で、淡い色合いの毛(ブルー、シルバー、グレー、フォーンなど)を持つ犬種に発生する、皮膚炎を伴わない脱毛症です。これと似た病気で「黒色」被毛脱毛症もあります。以前は異なる病気とされていましたが、現在は同じ遺伝性の疾患で、症状の現れ方が違う可能性が高いと考えられています。
通常生後4ヵ月〜3歳で発症し、主に首〜おしりにかけての胴の部分(体幹部)に発生します。淡い毛色の被毛のみが、弱々しくまるで擦れて折れたような毛を多く含んだ脱毛を起こします。脱毛は徐々に進行していきます。犬の成長期に毛根部でメラニン色素を毛に送り込む機能に異常が発生し、毛の中にメラニンが過剰な部分(メラニン塊)が発生して折れたり切れたりしやすくなります。過剰なメラニン塊は毛包機能にも悪影響を与えてしまい、発毛も少なくなり、徐々に完全に脱毛してしまいます。
皮膚のみに発生する病気で、命に関わるような異常が出ることはありません。犬にとってこの病気を発症したことへのストレスは少ないでしょうが、美観上問題になる場合や二次的な皮膚感染症などの問題が発生した場合は治療を行いましょう。
ブルー、シルバー、グレー、フォーンなど、淡い色合いの毛が生えているが弱々しく、まるで擦れて折れたように短くなります。年単位で徐々に進行し、完全に脱毛してしまう場合があります。ワイマラナーやドーベルマンなどの一部の犬では、お腹にメラニン色素のない斑点が出る場合があります。痒みや赤みはありませんが、二次的に皮膚で感染(表在性膿皮症など)を起こした場合は、皮膚に赤みや痒みなどが現れます。
通常4ヵ月齢〜3歳で発症します。好発犬種はドーベルマンで最も多く発生し、そのほかにヨークシャー・テリア、ミニチュア・ピンシャー、チワワ、プードル、パピヨン、ダックスフンド、ビーグル、シェットランド・シープドッグ、ボストン・テリア、イタリアン・グレーハウンド、グレート・デーン、グレーハウンド、バーニーズ・マウンテンドッグ、ニューファンドランドなどで報告があります。
遺伝性の疾患のため、予防法はありません。成長期から毛の状態を確認し、淡い色合いの毛が徐々に薄くなる異常がある場合は、早めに専門家に相談しましょう。
また決定的な治療はなく、緩和治療が主体になります。松果体ホルモンの投与や必須脂肪酸を内服して発毛を促し、皮膚のバリア機能を高めます。二次的に感染や炎症が起きている場合は、消炎剤や抗菌薬を内服します。また皮膚の保護機能を高めるシャンプーや細菌を鎮めるシャンプーで定期的に皮膚のバリア機能を高め、感染症を予防すると良いでしょう。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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