角膜炎とは、正面から眼を見て、いわゆる「黒目」の部分の一番外側にある無色透明な膜(角膜)に、何かしらの理由で炎症が起きた状態のことです。角膜表面(角膜上皮)で起きている「非潰瘍性角膜炎」と角膜内部(角膜実質)の欠損が起きている「潰瘍性角膜炎」があり、一般的に非潰瘍性角膜炎を角膜炎、潰瘍性角膜炎を角膜潰瘍と呼びます。
原因は目の乾燥(ドライアイ)、感染(細菌、ウイルス)、物理的な刺激(さかさまつげ、まぶたの内反、シャンプーなどの刺激、皮膚のしわの接触)、免疫の異常などがあります。その中でも、免疫の異常が原因の角膜炎は犬種と目の症状が特徴的で、そのほかの角膜炎と治療も若干の違いがありますので、下記の犬種で何度も繰り返す角膜炎が疑われる場合は、専門家にしっかりと診断をしてもらうと良いでしょう。ジャーマンシェパード、グレーハウンド(慢性表在性角膜炎:角膜に肉芽形成)、シェットランド・シープドッグ、ミニチュア・ダックスフンド(点状表層性角膜炎:点状に角膜が損傷)。
角膜炎を起こしている犬は慢性化すると角膜が濁ってしまい、黒目の部分がぼやけて見えたり、黒ずんで見える場合が多いです。正面から目に光を当ててみて綺麗に目の奥の構造が見えるか普段から確認をしてみると、悪化する前に犬の角膜の異常に気がつくと思います。月に1回程度でも十分なので、定期的に自宅でもしっかりと犬の目を確認してあげましょう。
軽度な場合は無症状です。慢性的な角膜炎が多く、症状がある場合は、目を眩しそうに閉じたり(羞明)、気にして目を床や前足でこすったりします。涙が増える場合や、逆に乾性角結膜炎(ドライアイ)で涙が減り、脂と膿の塊が目の周りをベットリと汚してしまう場合があります。目を正面から眺めると、結膜(白目)は赤く充血し、黒目(角膜)は白く(角膜の炎症やむくみ)なったり、血管が入り込んで赤くなったり、黒ずんでモヤがかかったよう(角膜の色素沈着)になったりします。
好発犬種は短頭種(シー・ズー、パグ、ペキニーズ、フレンチ・ブルドッグ)や、免疫介在性の角膜炎を起こす犬種(ミニチュア・ダックス、シェットランド・シープドッグ、ジャーマン・シェパード、イタリアン・グレーハウンド)などが挙げられます。
予防として、日常生活の中で目に刺激になるものを避けましょう。草や小枝があるような場所の散歩は気をつけ、シャンプー時にはシャンプー剤などが目に入らないように注意しましょう。鼻周りの毛やさかさまつげなどに伴って起こる場合は、主原因の治療を行うことで角膜炎を予防できるでしょう。好発犬種は普段から目をよく観察して、異常がないか確認をすると悪化を防げます。
治療には、感染に対して抗菌点眼薬や、ステロイドまたは非ステロイドの消炎剤の点眼薬、目の保護として人口涙液の点眼薬などが使用されます。免疫介在性の角膜炎は、ステロイドの点眼薬に対して非常に反応が良いでしょう。重症化した犬には自己血液中の液体成分(血清)を抽出して、血清点眼を作成して、角膜の再生を促します。犬用のコンタクトレンズで目を保護する場合や、手術で結膜と角膜を一時的に覆い、角膜の保護と再生を促す場合もあります。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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